大嶽哲夫               第5期卒

日本空手協会 指導員 ギリシャ アテネ在住

 

 

 

 

2008年、日本大使館より

日本文化の一つである空手

                  をギリシャに普及させた功績により表彰される。

 

 西村先輩の後を受け継ぐ形でギリシャに来まして、今年がちょうど区切りの40年目に当たります。

 

 ギリシャの空手の世界とは組織の成り立ちから関わってきました。今日では、

ヨーロッパ、世界大会などの国際大会で活躍する選手も数多く輩出し、スポーツとしての空手は成果を上げ、多大の発展を遂げてきたといえます。

  しかし、その反面、勝ち負けの結果だけを求める底の浅い、偏った、いびつな形になり、空手道の基本理念が技術的にも精神的にも変容しているような気がします。

 

 現在の私のクラブは、大きな特徴が二つあります。一つ目は、ご存じのようにギリシャの経済が破綻し、大変困難な状況状態に陥っています。幸いなことに、私のところはその影響をあまりこうむってはいません。会員数もこの34年微増ですが毎年伸び続けています。これは私のクラブだけの特徴です。二つ目は親子が一緒になって習っている人の割合が大変大きいことです。家族全員でやっている人もいます。これも私のクラブだけの現象です。

 

 失業者があふれ、暗い世相の中、親子、家族で空手を始めようとする人が後を絶ちません。そんなところを見ますと、ギリシャはまだまだ再生する余力が残っているのではと感じます。

 

  私自身、今までの伝統空手、スポーツ空手の組織の枠の中で行動することにとらわれ、その組織の軋轢に翻弄されてきました。そして、今、この親子で一緒になってやる空手の素晴らしさを目の当たりにし、人生最後の方になって何か大切なものを発見したような気がします。目からうろこが、2枚も3枚も落ちました。

 

 この後どのくらい指導を続けることができるかわかりませんが、やるべきことはまだまだ残っていると思います。雑多な構想が頭の中を駆け巡ります。

 

近況と心境を書きました。

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