押川 豊 第5期卒 元高校校長
空手で出会った「五条の訓」
空手道部和空会の道場の教えに「五条の訓」がある。
一つ人格完成に努めること、
一つ努力の精神を養うこと、
一つ礼儀を重んずること、
一つ誠の道を守ること、
一つ血気の勇を戒めること、
どの一つをとっても、その理念どおりに行うことは難しい。
先輩監督に請われて空手道部の部長になった。この空手道部は、毎年、県下で優勝し、九州大会・全国大会に出場して優勝の経験もある。先輩監督は学生時代陸上競技で空手道の経験はない。普段の練習でも特別なことはやっていない。彼は、選手一人一人を深く理解して彼らの良さを引き出し、対戦相手の情報をできる限り掴んでオーダーを組み、一人一人に適切なアドバイスをする。子供たちは信頼し、尊敬している。私も見習って努力してきたが、自分ではよいと思ってしたことが、必ずしもそうでなかったり、独善的であったり、誠意に欠けたりしてしまう。誠の道は厳しい。
「五条の訓」に出会ったことが、私にとっては大きな指針となっている。